誰もが生活の中に「嫌なモノ」を抱えている。
私の場合、留学の一学期目に取っていたカポエイラの授業がそれに該当した。
※カポエイラとは、ブラジルの奴隷たちの間で生まれた武術と音楽とダンスの融合パフォーマンス
もともと興味があって履修登録したのだが、動きを身体で覚えるセンスが皆無であることを忘れていた。
お遊戯会やダンス発表では上手くいった試しがなかった。
カポエイラの授業は週にたった一度、水曜日だけだったが、2時間と長い。
回転系の動きが多くて、頭がクラクラする。
皆土足で換気の悪い狭い空間で動き回るから、空気が汚れて気分が悪くなる。
そんな状態で床に寝転がらなければいけなかったりする。(土足文化は好きじゃない)
鏡に映る自分の動きを見て、理想の動きとの違いにテンションが下がる。
先生の説明は言語の問題でよく理解できないことが多く、ゆえに一層遅れてしまう。
何度も辞めたいと思った。
上手く出来ないのが悔しくて、何度もふて腐れた。
無口になった。無表情になった。
水曜日が来るたびに憂鬱になった。一度はサボった。
しかし、私はその授業を辞めることはできなった。
単位を1つでも落としたら、次の学期に進めないことが分かっていたからだ。
だから、辛くても続けるしかなかった。
このように、嫌なことでも、続けなければならない局面は必ずある。
例えば、受験勉強や大学の試験、労働など。
嫌なことから遠ざかるには「辞める」か「好きになる」かしかない。
「辞める」ことのできない状況なら、「好きになる」ために工夫していくしかない。
完全に好きになれるとは限らない。
でも、何もせずに嫌な気持ちでいつづけるよりはずっとマシだ。
だから私は、カポエイラを何かに活かすことに決めた。
ただ嫌な気持ちで消化していくのではなく、目的を以て取り組もうと努めた。
そもそも、カポエイラのできる日本人なんてそうそういない。
カポエイラが少しでも出来るようになれば、何か良いことあるかもしれない。
授業では先生や学生らとコミュニケーションを取るので、スペイン語の練習にもなる。
いっそこのクラスで仲良い奴を作って飯でも誘おう。
辛いことに耐える訓練にもなる。
そんな風に、どうしても「辞める」ことができないのなら、嫌な部分ばかりに目を向けずに、プラスの側面に着目していくしかない。
すると、意外にも光が見つかったりするものだ。
2018.03